出資法違反について

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出資法違反について

出資法違反について

出資法違反

投資詐欺やヤミ金などの事案においては、出資法違反や金融商品取引法違反等で逮捕・起訴されるケースが多くあります。

出資法は、正式名称を「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」)といい、金利や預り金、仲介手数料、等に関して規制する法律です。

出資法が規制している主たる内容は以下のとおりです。


出資法の規制について
(1)出資の受入れ
出資について、不特定かつ多数の者に対し、出資の払いもどしとして、元本を保証して資金の受け入れをすることの禁止
(2)預り金
正規に認可を受けた金融機関以外が、不特定かつ多数の者から、預金、貯金又は定期積金の受入れをすることの禁止
(3)媒介手数料
金銭貸付の媒介を行う者が、年5%を超える手数料の契約、又は手数料の受領をすることの禁止
(4)高金利・高保証料
金銭の貸付けを行う者が、年109.5%(業として行う者は年20%)を超える利息の契約をすることの禁止
金銭貸付の保証を行う者が、年20%を超える手数料の契約、又は手数料の受領をすることの禁止

当初から元本の返還義務がある場合が「預り金」であり、返還義務がない場合が「出資」です。

媒介手数料、金利・保証料について、それが手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又は授受の場合も、金銭の貸付け又は金銭の貸借とみなされます(同法第7条)。



『出資』とは

出資とは、共同の事業のために拠出される金銭であり、事業の成否によって元本の返還や利益配当が決まりますので、本来、元本が保証されない性質のものです。
会社の新株発行等、元本の払戻しが保証されていないことが明らかな出資の受け入れは違法ではありません。

『不特定かつ多数の者』とは

不特定とは、集金者と個人的なつながり(親族、知己)がないことをいいます。
会員限定等であっても、加入・脱退の自由があるなど会員が固定されない(流動性がある)場合は、不特定と判断されます。
多数とは、ある程度以上の複数のことをいいます。

『元本保証』とは

出資法が禁じているのは「元本以上の払戻し」ではなく、出資金全額以上を払い戻す旨の表示です。
会員限定等であっても、加入・脱退の自由があるなど会員が固定されない(流動性がある)場合は、不特定と判断されます。
多数とは、ある程度以上の複数のことをいいます。

『明示し、又は暗黙のうちに示して』とは

明示は「元本保証」の記載の他、「この出資は安全確実である」旨の文言などがあります。
暗黙のうちに示すものとしては、出資金払戻実績表を示してこれは最低確実だと告げる、などがありす。
『有望である』『有利である』の宣伝文句など、高率配当を期待させる文言だけでは元本保証には該当しません。

『資金の受け入れ』とは

金銭受入行為の目的については不特定かつ多数の者である必要がありますが(最高裁昭和36年4月26日)、結果として「不特定かつ多数」から受け入れしていることまでは必要ありません(広島高裁昭和30年4月2日、高松高裁昭和32年7月19日、東京高裁昭和35年11月21日)。


金融商品取引法違反について

出資法違反は、「不特定かつ多数の者」からの受入れを禁じるものですが、業として投資の運用や助言を行うこと自体を制限しているのが「金融商品取引法」であり、無登録営業には厳しい刑事罰があります。


以下の「金融商品取引業」に該当する行為をおこなうには、金融商品取引業の登録を受けるか、適格機関投資家等特例業務の届出を行う必要があります。

「金融商品取引業」に該当する行為
(1)第一種金融商品取引業
株式や社債など主に金商法2条1項の有価証券の販売・勧誘をする場合や顧客資産の管理業務等を行う場合に必要な登録です。
例:証券会社、
  外国為替証拠金取引(FX)業者、等
(2)第二種金融商品取引業
主に金商法2条2項の有価証券の販売・勧誘業務等を行う場合に必要な登録です。不動産の信託受益権がこの有価証券にあたる関係で、不動産業者様が登録を受けているケースが多くあります。
例:ファンド(集団投資スキーム)の販売会社、
  信託受益権売買業者、等
(3)投資運用業
投資運用に関する業務を行う場合に必要な登録です。投資信託やファンドで集めた資金を運用する際にも、運用先が株式等の有価証券である場合にはこの投資運用業が必要となります。
例:投資顧問会社(一任業務を行う会社)
  投資信託委託会社
(4)投資助言・代理業
投資助言に関する業務や投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理・媒介を行う場合に必要な登録です。
例:投資顧問会社


金融商品取引業を、金融庁(財務局)の登録を受けずに無登録で営業した場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する、となっています(金融商品取引法第197条の2)。




株式等の有価証券に関連する取引や外国為替証拠金取引(FX)、暗号資産、その他の金融商品取引を自動で行うソフトウェアの販売であっても、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の提供そのものが、投資助言・代理業とされます(金融商品取引法第2条第2項第11号)。

さらに、特定のFX業者等との間のIB契約やアフィリエイト契約が伴う場合には、媒介業務(第一種金融商品取引業)に該当するおそれもあります。

また、Bitcoin等の現物暗号資産の投資ツールであって暗号資産交換業者との間のIB契約やアフィリエイト契約が伴う場合には、資金決済法第2条第7項第2号に掲げる媒介業務(暗号資産交換業)にも該当します。

自動売買機能を自由にオンオフすることが出来ない仕様であるなど、事業者が投資を行うのに必要な権限を委任されているとみなされる場合には「投資運用業」に該当するおそれもあります。




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