示談とは

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示談

示談とは

示談

「示談」とは、私人間の紛争を民事裁判によらずに、当事者間による合意によって解決することをいいます。
もしくは将来的に紛争が生じるおそれがある事項について、事前に予防する契約のことをいいます。

「示談」という用語は刑事事件や交通事故などで利用されることの多く、民法上の「和解契約」と似ていますが、「和解契約」が相互に譲り合うことを前提とするものであるのに対して、犯罪や事故・不貞行為などの加害者だけが一方的に提示された条件に応じる場合も含む概念として使用されます。

一般には、一方が一定の金銭(迷惑料、慰謝料、解決金、治療費、修理代、等、様々な名目)を支払い、その代わりに、「裁判を起こさない」「告訴(被害届)を提出しない、もしくは取り下げる」「家族や職場その他の第三者に口外しない」等の条件に応じるという内容であり、通常は、示談書という書面を作成して当事者双方が取り交わします。

示談交渉は、当事者が自分自身で行うことも可能ですが、相手方と直接のやり取りをしたくない、連絡先を知られたくない、感情的になって話がまとまらない、等の事情がある場合には、弁護士を代理人としてたてて、示談交渉してもらうことになります。

示談には、被害者への治療費や慰謝料の支払いなどの損害賠償によって被害を回復するという目的の他、お詫びの気持ちを金銭で示して許しを得るということ、刑事処分を免除または減刑になるようにしてもらうこと、第三者に事実が知られないようにしてもらうという口止め料的な意味合い、裁判で争うことで要する時間や費用の負担を軽減したいという意味合い、等など、複数の要素が含まれているため、一般には、裁判で認定される賠償金額よりも高額であるケースが多くあります。

実際問題として、加害者から被害者へ、ことさら「謝罪をさせて欲しい」という申しれがある場合、その目的は「刑事処罰を求めない」という記載のある示談書の取り交わしや、「減刑を求める嘆願書」への署名捺印をしてもらい、起訴猶予や執行猶予を受けたいという理由によるものであることが大半です。

なお、示談をしたい場合、加害者から「法的妥当性」などを主張して裁判になった場合に認定されるであろう金額で応じるように求める等をしてしまうと、かえって、被害者から「全く謝罪も反省もしていない」などと感情的な反発を招いて紛争に発展することも多くありますので注意が必要です。

被害者の方としては、加害者からの弁償や賠償を受ける前に示談合意して「刑事処罰を求めない」等の記載ある書面に署名捺印をしてしまうと、その後、加害者から然るべき被害の賠償をされないまま放置されることも多くありますので注意が必要です。





示談成立にかかる重要事項

示談が成立するか否かには、おおよそ以下のような事情や条件が影響します。

(1) 原因事実の行為態様や被害者の処罰感情の大小
(2) 謝罪や見舞いその他の誠意ある言動の有無
(3) 賠償金額
(4) 加害者の社会的地位や経済能力
(5) 刑事処分や社会的制裁の可能性と大きさ


示談書のメリット

示談が成立した場合、示談書を作成しておくことはとても重要です。

示談書があることで、原因事実があったことや当事者間で解決したことの証拠となります
あとで足りないと追加請求されたり払い過ぎたと返還請求を受けることを予防し、第三者に風評が広まったり、私生活や業務の平穏が侵害されないようにすることが出来ます。
また、事案によっては、刑事事件に発展して身体拘束や前科がつく危険が減少し、民事裁判に発展して多大な費用や時間、労力の負担が生じる危険を回避できます。


示談書の文例サンプル

警察署がストーカー規正法違反で逮捕した事案の場合の示談書の文例サンプルです。


示 談 書

甲:●● ●●
乙:●● ●●

令和▲▲年▲▲月▲▲日に乙が逮捕されたストーカー行為等の規制等に関する法律違反被疑事件(以下「本件」という)について,本日下記のとおり示談が成立した。


乙は,本件について真摯に反省し,甲に深く謝罪する。
乙は,今後一切,甲に対して,交際・面会の強要,待ち伏せ・押しかけ・つきまとい行為,電話・手紙・FAX・電子メールの送信などによる連絡その他不安を覚えさせる行為をしないことを成約する。
乙が上記2の誓約を破った場合には,乙は,甲に対し,金1,000,000円を賠償する。
乙は,本件に関する解決金として金●●●,●●●円を甲の指定する金融機関の口座(●●銀行 ●●支店 普通 ●●●●●●● )に振り込むことにより支払う(振込手数料は乙の負担とする)。
甲は,乙が上記示談に示した誠意を認め,乙を宥恕し,乙の刑事処分を望まない。
甲と乙は,本示談書に定めるほか,本件に関して,何らの債権債務のないことを相互に確認する。
本示談書の成立を証して,本示談書を2通作成し,甲が1通,乙が1通所持する。

以上


令和●●年●月●日


甲 住 所                 

  氏 名          印


乙 住 所                 

  氏 名          印



犯罪被害の慰謝料と自己破産

自己破産の手続きをしても、一部の犯罪被害に対する損害賠償の支払義務(責任)は免除されません。

責任が免除されない債権のことを「非免責債権」といいます。

破産法253条1項が定める非免責債権

1 租税等の請求権
2 破産者が悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権
3 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命・
  身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
4 親族関係に係る請求権
5 雇用関係に基づく使用人の請求権及び使用人の預り金
  返還請求権
6 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった債権
7 罰金等の請求権

2の「悪意」についてですが、通常の法律用語としての「悪意」は、単に、ある事柄について知っていることを差しますが、ここに記載された「悪意」は、この場合の「悪意」は、他人を害する積極的な故意、=「害悪の意思」のことを指すと解されています。

暴行傷害で怪我をさせた場合の被害者に対する慰謝料
 免責されない可能性が高いです。

詐欺や横領などで生じさせた被害の損害に対する賠償
 免責されない可能性が高いです。

不倫によって離婚した場合の元配偶者に対する慰謝料
 免責される可能性が高いです。

交通事故で怪我をさせた場合の被害者に対する慰謝料
 過失による事故の損害賠償は免責されます。
 ただし、故意または重過失である場合には、
 免責されない可能性があります。




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