告訴能力

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告訴能力

告訴能力

告訴をするためには、告訴人に、有効な告訴をする能力が備えられていることが必要です。
自己の犯罪被害事実を理解し、これを申告して犯人の処罰を求める意思を形成する能力が求められます。
法令による明文の規定はありませんが、10歳の告訴と12歳の告訴につき、その告訴能力を認めた裁判例があります。
一般的に、10歳未満の児童や認知症患者、重度の精神障害者、等の場合は、意思能力を欠くとして、告訴能力が否定されます。

また、告訴は、原則として、人(自然人)が行うものですが、名誉毀損罪など、性質上、法人や権利能力なき社団が被害者または加害者となる場合もあります。

そのため、明文の規定はありませんが、一定の罪については、人のみならず、法人や権利能力なき社団が告訴をすることも、法人や権利能力なき社団に対して告訴を行うことも可能です。

告発は、告訴人以外の第三者が行うものですので、法人や権利能力なき社団が行うことも可能です。


名古屋高裁 金沢支部 平成24年7月3日 判決
未成年姉妹が、母の交際相手から準強姦と強制わいせつを受けた事件

告訴当時10歳11か月であった妹への強制わいせつにつき、裁判所は、以下のとおり、告訴能力を認定しました。
「被害者による告訴(刑事訴訟法230条)は,犯罪被害にあった事実を捜査機関に申告して,犯人の処罰を求める行為であるが,公訴を有効に提起するための訴訟条件となる親告罪における告訴を有効になすためには,告訴能力を有する被害者等による告訴がなされることが必要とされている。」
「告訴は,犯罪被害にあった事実を捜査機関に申告して,犯人の処罰を求める行為であって,捜査機関に対し,自己の犯罪被害事実を理解し,これを申告して犯人の処罰を求める意思を形成する能力があれば足りると解するのが相当である。」
「被害者の成績は中の上くらいであり,年齢相応の理解力及び判断力を備えていたと認めることができる」

東京地裁 平成15年6月20日 判決
被告人が内妻の子を姦淫し、内妻からの告訴はなく、被害者及び被害者の姉から告訴がなされた事案

本判決では,当時12歳3か月の被害者の告訴について、裁判所は、以下のとおり、告訴能力を認定しました。
「自分のおしっこの出る所に無理やりおちんちんを入れられて気持ち悪くてたまらなかった旨述べるとともに 被告人を処罰してほしい旨や,許すことはできないのでできるだけ長く牢屋に入れてほしい旨述べているのであるから,本件被害の内容を具体的に認識しつつ,被害感情を持って被告人に対する処罰を求めているものと認められるのであり・・・その告訴能力に欠けるところはない 」

福岡高裁 宮崎支部 平成22年12月21日 判決
知的障害のある女性が車で連れ去られ、車内でわいせつな行為を受けたとして強制わいせつ罪などで告訴した事案

当時知的障害により10歳未満の知能レベルと診断されていた被害女性からの告訴について、裁判所は、以下のとおり、告訴能力を認定しました。
「女性は被害を認識して被害感情を持っている。告訴の意味を理解し、被告人の処罰を求めており、告訴能力はあるというべきである。」




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