器物損壊等について

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器物損壊

器物損壊等について

器物損壊等

「器物損壊」とは、他人の物をわざと壊したり傷つけたりすることをいいます。
「器物損壊罪」は、故意に他人の物を物を投げて壊したり、蹴飛ばして傷つけたりした場合に成立します。
主要な学説は判例においては「他人の所有する物の効用を害する一切の行為」とされます。
そのため、食器に放尿して事実上使えない状態にしたり、選挙ポスターを汚したり落書きして本来の効用を失わせたり、物を隠して使用を妨害した場合にも「器物損壊罪」の成立を認める裁判例があります。


器物損壊等

器物損壊罪とは、故意に、他人の物を壊したり傷つけたりして使えなくする犯罪のことをいいます。

法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料です。

公訴時効の期間は3年ですが、器物損壊罪は告訴がなければ起訴することができない親告罪(刑法264条)であるため、犯罪の事実と加害者を知った時から6ケ月以内に告訴をしなければ、起訴することが出来なくなり、犯罪として処罰することが出来なくなります。




以下の要件をすべて満たした場合に「器物損壊罪」が成立します。

    器物損壊罪
  1. 実行行為 他人の物を損壊し、または傷害すること
  2. 故意性  他人の物を損壊し、または傷害する認識があること
  3. 結果発生 他人の物が損壊または傷害されたこと


■1.「他人の物」とは、他人が所有するすべての有体物を指します。

※ただし、以下の場合は別の罪として処罰されます。

1)公用文書毀棄罪
公務所の用に供する文書または公務所の用に供する電磁的記録を毀棄した場合には公用文書等毀棄罪(刑法258条)となり、刑罰は、3月以上7年以下の懲役です。
2)私用文書毀棄罪
権利義務に関する他人の文書または権利義務に関する電磁的記録を毀棄した場合には、私用文書等毀棄罪(刑法259条)となり、刑罰は、5年以下の懲役です。親告罪です。

※(1)と(2)には、
 文書の利用を一時不能にする目的で文書を隠匿する等の行為や
 文書を丸めてしわくちゃにし床に投げ捨てる行為も含まれます。
※公用文書を毀棄することによって公務の執行を妨害する場合は、
 公務執行妨害罪になる可能性もあります。
※私用文書を毀棄することによって業務の妨害をする場合には、
 威力業務妨害罪になる可能性もあります。



3)建造物等損壊罪
他人の建造物または艦船を損壊した場合には建造物等損壊罪(刑法260条)となり、刑罰は、5年以下の懲役です。


4)動物愛護管理法違反
ペットや家畜など動物を傷つけた場合には場合には動物愛護管理法違反となります。


ただし、人に飼われている「哺乳類、鳥類、爬虫類に属する動物」及び飼い主の有無にかかわらない全ての「牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる」を傷害した場合には、動物愛護管理法違反となり、罰則は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金です。



■2.「損壊または傷害」とは、壊したり傷つけたり本来の効用を失わせることをいいます。

「損壊」とは物の性能や本来の価値を失わせることをいいます。
「傷害」とはペットや家畜など動物に対する損壊を意味します。

●物理的な損壊または傷害
・窓ガラスを割る
・車や自転車のタイヤをパンクさせる
・店の看板を殴って破壊する
・植物の枝を折って捨てる など
・他人のペットを蹴飛ばして怪我をさせる
・選挙などのポスターを破る
など
●物の効用を害する損壊または傷害
・食器に放尿する
・公共の壁などに落書きをする。
・他人の塀に張り紙をする
・物を隠す、持ち去る
・他人のペットを逃がす
・図書館で借りた本の一部を塗り潰す
・他人の衣服や物に体液をつける
など

■3.「故意」であること。

刑法上の「故意」とは、犯罪を構成する自らの行為を認識し、それを認容していることをいいます。
つまり、意図してわざとやったということです。
この「故意」には「確定的故意」と「未必の故意」の2つあり、犯罪結果を確実に予測している場合が確定的故意、確実ではなくてもその可能性を認容している場合は未必の故意として、「故意」が認定されます。
故意の反対は過失であり、いわゆる不注意の場合です。
不注意で物を壊してしまった場合は、注意義務違反として民法上の損害賠償責任を負いますが、刑法上の器物損壊罪にはなりません。





証拠について


刑事事件として処罰を受けさせるためには、証拠として、器物損壊行為をしていることが分かる防犯カメラの映像、または目撃証言などが必要です。
なお、防犯カメラ映像は一定期間の経過によってデータが上書きされて残らなくなる場合が多いため、注意が必要です。





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